果樹や作物の栽培に関して
べっぴー
【近畿】
2013/08/23(金) 10:38:05
皆さんはどう思いますか?果樹でも野菜でも、美味しいものが沢山とれたらいいと思ってやっているのが人情だと思います。余ったものは人に上げて喜んで貰えたらいいと。私は完全な有機栽培ではありませんが、化学肥料も適度に使います。堆肥、ボカシも使います。時々思うのですが、あのホアグラみたいやなと、あひるでしたか、無理やり口からエサを放り込んで、短期間に肝臓を大きくさせる。また、霜降り牛は、真否のほどは確かではありませんが、病気寸前まで栄養資料を食べさすとか聞いたことがあります。植物は、動物でないから、そんな感情はもたなくてよいでしょうが、果樹でも酷使して寿命がみじかくなるのかな、だったら少し自然態に戻そうかなとも思ったりしてます。
ばんざいうさぎ
【北海道】
2013/08/25(日) 00:34:35
こんばんわ〜。長文ですみませんが私の思っている事を書いてみました。解りづらい所もあるかもしれませんが、お時間のある時にでもゆっくりと読んでみて下さい。
野菜や果樹は目的の部位をより大きく美味しくしようと人為的に改良されてきたものですから(野菜などは、もはや改良しつくされている感があります)、ある程度は美味しく食べたいと思うのでしたらやはり適度に施肥は必要で、あまり与えない方に進んでしまえば美味しくなくなったり環境に打ち勝てずにかえって短命になりうる物もあるかと感じます。作物によっては土環境を良くして地力をあげ「土を肥えさせれば」1〜2年は無肥料でもそこそこの物が採れますが、特に蕾を食べる物や実を食べるものだと肥料の与え方次第では花が満足に咲かないか受粉が良くなくて(特に雌雄別花の物はそれぞれの花数のバランスが崩れやすい)収穫がぐんと減ってしまう物も・・・。
野菜や果樹の適切な手入れや施肥を怠れば(今回の話題のケースは怠っている訳では無いのですが植物の側から見れば同じ事)、F1で無い品種の場合は自然に馴化出来ない弱い株は途中で淘汰され性質が強めなものはだんだん野生化してきます。F1は株のほとんどの性質が均一なのでほとんどが枯れるか、ほとんどが何代かまでは同じ様に野生化していくか劣性の強い物が多く出てくるかと思います。
土地に馴化していく性質が人間には不都合(流通の都合や味の好みの流行などで均一化)な為にF1品種への改良が進み、その種子は自家採取するとF2では都合の悪い性質が出易い為に、現在では種子は毎年新たに買って蒔くのが当たり前となってしまいました。昔は流通範囲が地元周辺などで改良も頻繁で無かった頃は、昔からその土地に合い病害虫にも強い在来品種があって、昭和の40年代頃くらいまではキュウリやナスなどでも自家採取で種子を採り代々作っていた農家も結構あったんです。伯父の家でも種子採り用の巨大な実が成ってました。
あと、肥料を極力控えめで育てる性質の野菜では無い限りは、肥料を控えて育てて生育が悪く収穫できても、繊維が固くて食べにくくなったりアクが強くなりすぎたりで食味が悪くなる物が出てくる可能性もありますね。
結局人間の都合で本来の性質を捻じ曲げられて改良を繰り返されて作られてきた野菜や果樹と言う物は、改良されてしまっている時点で原種よりは自然環境には弱くて短命です。改良の進んできた物ほど人間から適切な手入れがされなくなると野生化するまでに年月がかかる物も。やはり、野菜や果樹は自然体方向での栽培を考えるのよりも、人間が手をかけてあげて作物に合った適度な管理の方がより長命で美味しいものが出来ます。
なのでよほど多肥での栽培をおこなっていたのでは無い限りは特に自然環境に近い環境にして栽培する事は考えなくても良いと思いますよ。
特に果樹でもリンゴの様な、複数の近縁の原種が元に作られている「自然界には存在しない種」や、キャベツやブロッコリーの様なケールの仲間からの突然変異部位を多く食べる為に改良された野菜を肥料を控えたり自然環境に近づけすぎて栽培は難しく、人の世話をとても必要とします。肥料を控えれば固く美味しく無くなり変異部位(リンゴの実の大きさや糖度、キャベツの玉の大きさ柔らかさやブロッコリーの蕾の大きさ)は確実に劣ってしまいます。
リンゴ栽培も化学的な物を使わない栽培の困難さは実話が書籍化され反響を産んで「奇跡のリンゴ」という映画にまで成ったくらいですもの。
結局人為的に作られた物は、人の適切な手助けが無ければ虫への抵抗も良くないし育ちも悪くなるし、美味しく無くなることも多いと言う事です。野生の動物が改良されたペットは、野生の動物と似たようなものだけを食べさせていると健康を損ねます。ウサギでさえ愛玩用の外国で改良されてきたものは、飼っていて喜んで食べるからと生の草を多く与え続けると腸の調子が崩れて命にかかわる事が。これは先祖から代々乾燥餌ばかり食べさせられて適応してきた為に、生の草の成分には腸が対応しづらくなってきているのかと感じます。
改良された果樹や野菜の根でも弱いのがあって接ぎ木などで強い台木に継いで性質を強くする物もあります。植物の自前の根が吸収できる成分にいつもより偏りが大きければ果樹の場合木自体の健康が崩れ易く病気の蔓延や虫の大発生=枯死に繋がり易いですし。
野菜での良い例がニンジンで、あれは間引きをし肥料を適度に与え無いと根があまり育たなかったり細くなったりしやすいですよね。現在主流の品種だと推奨された栽培・施肥をすれば糖度がかなり高まり、収穫適期は糖度のせいで根が腐り易くなります。これはとても不自然な事で改良前の野生の物なら絶対あり得ない事です。
野生化したニンジンは当地では道路縁の雑草ですが、北海道では道路傍の芝は不用になった牧草での代用が多いです。それを剥がしてきた牧草地が以前畑地である事が多く、そこに収穫前にトウが立ち捨てられたニンジンが生き残り生えていて、そういう由来で道路縁にノラニンジンとして咲く事になってしまってるのですが、元々辿れば野菜のニンジン。すでに年月も経ち何代も代替わりしてしまって今では野菜としての特徴は消えてしまったでしょうが、畑地から抜いて捨てられてから2〜3代くらいのうちなら種子を獲って蒔き普通にニンジンとして育てれば本来の品種ほど立派でも美味しくもなくとも、まだ野生化していないそこそこ根の太った根が収穫出来たと思います。
ただ、何事にも例外はあってシソ科の物などで薬味に使う物だと少量を細かく刻んで使うので口当たりに気にならないからか、肥料を控えて環境を少し辛目に育てると香りが強く育つと言う物はあります。ハーブの様な薬草系もそういう物が多いです。精油が多く作られ成分も濃くなるからの様で、特に精油目的で栽培される青紫蘇や薄荷は、収穫時葉がすでに固く生食には向きませんが絞って蒸留すれば精油が沢山採れます。山菜の栽培も野生に近い栽培環境ほど美味しいものが出来ます。
以前叔父がギョウジャニンニクを堆肥たっぷりで育てたのですがホウレンソウの様に葉が大きくなってもとても柔らかくて食べやすいのですが(本来は葉が大きいと葉がゴワゴワで食味が悪い)。でも独特の風味がほとんど飛んでしまっていて、本来の目的は失われていました。
三つ葉も野生の物はあの香みがとても強くなり、味は結構クセが強くていかにも山菜という感じです。
我家の畑地の一部は農家をやめて数年経つと野生の三つ葉畑になってしまい(隣の林に自生しているので、畑地にする前に生えてた株の種子が地中で長年休眠してたらしい)うれしい誤算だったのでそのまま殖やしています。春に生えて軟白もされていない状態の物は歯触りもほど良く三つ葉だけで味噌汁の具にしたり、胡麻和えにして野生味を楽しんでますよ。
べっぴー
【近畿】
2013/08/25(日) 09:53:03
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ばんざいうさぎさん、素晴らしい知識とご見識を読んで私の頭の中のモヤモヤが晴れる思いです。また、ものによっては、原種的に肥料を控えた方がよいものもあるとお教え頂き、とても勉強になりました、ありがとうございました。
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