その後の[削ぎ芽接ぎとフォルケット法の違い?]について
玩橘
2009/02/07(土) 12:08:32
先月の1月29日に、この欄に[削ぎ芽接ぎとフォルケット法の違いについて?]との教えを皆様に請いました。その後に、再度手持ちの書籍を読み直しますと、どうも芽接ぎ・腹接ぎの周知に付きまして、その内容と時代錯誤が有りましたので、再度記させて頂きます。皆様には既知の内容かとも思いますが、参考になれば幸いです。
◎図説 接木繁殖法 小野 陽太郎 著 朝倉書店発行 昭和28年
この本の発行時点で、既に[添接法](腹接ぎ)として、内容的にはフォルケット法(此処では枝接ぎ法:形態的には削ぎ芽接ぎと同形態)が紹介されている。
前提として、皆様が良くご存知の事ですが、(簡略に表記すれば)
○腹継ぎ(胴接ぎ・添接法)とは、台木の一側を木質部に薄く掛かる程度に削ぐ方法であり、接ぎ芽・接ぎ穂の形態により削ぎ芽接ぎ(フォルケット法もその範疇)や腹接ぎとの呼称に大別されている。此処での前提は、台木の梢部を切らずに、台木の側皮を削ぎ、接ぎ穂を合わせるのである。
○今時の芽接ぎ法は、普通:削ぎ芽接ぎとも同一視され、フォルケット法とも表記されている。此処で認識を共有したいのは、台木部分での削ぎ方は同一であり、接ぎ芽は穂木より薄く芽の部分を削ぎ採ったものである。
以上の前提の下で図説 接木繁殖法での内容であるが、
[腹接法]として、穂木の形が台木の削ぎ長さより長い形態を示し、
[添接法]として、穂木の形が台木の削ぎ長さより短い形態を示す。
此処での差異は、[腹接法]では台木の樹肌に平行・若しくは斜めに切り込んでいるのに対し、[添接法]では台木の樹肌に平行に切り込んでいる違いがある。この違いは、用いる穂木の形態に都合の良いように台木を切り込んでいる事である。
この本の中には、内山式芽接法として、台木を削いだ切片を切り取らない方法を図説してある。と同時に、切片を全て切り取る方式を削芽接と称するとも紹介している。切り取る方式は、多分、安西 潁知 式と称されるもとと思える。
故に、戦後間も無い時期に、既に腹接ぎ法(腹接法・添接法)として既知の形態であった事が知れる。
また、今時の削ぎ芽接ぎ法(Forkert法とも?)は、添接法の存在で新規な技術で無かった事が知れる。唯、これらの技術が、現在知りうるForkert法と、国内での添接法、内山式法、安西法との時代序列が不祥な事である。何れにしろ此処の方案が一冊の本の中に収められている事よりすれば、戦後直ぐの時期に有る程度の当業者には知れた技術であったようである。
長々と申し訳有りませんが、これらの技術に対して、昭和20年(1945)以前の既知事実があれば、教示を是非にお願いします。
植木屋 園主
[URL:http://diary.jp.aol.com/upzgun/]
2009/02/10(火) 21:59:46
こんちは〜♪
植木苗木の増繁殖と云う事で福岡県田主丸町は二百年以上の伝統があります
接木繁殖と言う事では現在でも何代にも至って
接木増殖の専門業者(接師)さえ多数居る地域があります!
>昭和20年(1945)以前の既知事実があれば、
接木と云う事ではおそらく最初ではないかなと思われるのがハゼではないかと思います
コレは庶民であろうが大名だろうが必要な蝋燭を作る為に必要性があったからではと思います
また日本人がこよなく愛でるソメイヨシノは1850年頃に確立していた模様!
ハゼに付いての記述は既に寛延3年(1750年)には確立していた事になります
当時「松山ハゼ」を発見した竹下武兵衛なる者が
広範囲に良質な蝋を普及させるために「農人錦の袋(嚢)」(1750年)原本は不明!
の中で書き記しているようです
私が幼い頃近所の植木屋の親父たちから見聞きしていた中でも当時を思い起こせば
昔から伝えられた技法と云う事で順を追って
1)幹の途中で接ぐ腹接ぎ(高接ぎ)
2)根元付近から台木を切って接ぐ切り接ぎ
現在残っているハゼはこの接ぎ方になっているようです
(断言は出来ませんが現存するハゼを見た感じで根元の括れ(接ぎ痕)が残っていますね)
この↑中でも植え床より掘らずに接ぐ「居接ぎ」堀り上げて接ぐ「上げ接ぎ
この頃より枝垂れウメなどの根元での養成物が出回る様になっているようです
最近この接ぎ方での最古木?(根元高15cm周りで130cm)ではないかと思われるものが推定でも50年以上は経た物が売買されています
他に見るウメの枝垂れの大きい物はあっても1m以上の高接ぎの技法のようです??
3)芽だけを抉り取って台木に貼り付ける芽接ぎ
この技法は↑の技法と違い、僅か1芽で事足りる為に
量産性を追求しての技法かと思われます
以上の事から大別すれば腹接ぎ,切り継ぎ,芽接ぎの3種(別には根接ぎもありますが)で
他の接ぎ方?技法?なるものは僅かな差異はあれど根本的に別の技法ではないと思います
個人的な見解は生育上の差異(優劣)が出るのは
先ずは台木と穂木の相性と
形成層同士の密着性が最重要ではないかなと思います
木質部を云々はカルス発生(巻き込み)には関係はないのではと思います??
確たる引用も出来なくて申し訳ない話で、あくまでも自己見解です(__)\
玩橘
2009/02/11(水) 15:08:16
植木屋主人 殿
レス誠に有難う御座いました。貴レスの中の記載を拝見致しますに、日本古来の枝接の範疇の物かと思います。(ご紹介のハゼの接ぎ法は存じませんが、図説 接木繁殖法には、環状剥皮の様なハゼ接ぎ法(剥接ぎ法)と台木を斜めに切り込む腹接ぎの紹介があります)
東洋で発展いたしました枝接ぎは、安楽庵策伝(1554〜1642)の中に、光琳筆と伝えられます六曲一双の屏風絵の中に、椿の今で言う切り接ぎの絵が御座います。従って枝接ぎでの資料は350年以上前に存在したことになります。後刻では、181年前に発行の草木育種(上)・(文化15年・1818年)に枝接ぎの切り接ぎ・そぎ接ぎ(今の切り接ぎ)・呼び接ぎ・水接ぎ(今のビン接ぎ)挿し接ぎ等々が絵入りで紹介されています。
以上より致しまして、枝接ぎの方法は相当に古くからの技術で有った事が知れます。
話を本題に戻しまして、当方が皆様に教示をお願い致しましたのは、芽接ぎの範疇に入ります方案に関しまして、昭和20年(1945)以前の本・文献・HPなりをご存知であればと、問い掛けを致したものです。
何かややこしいお願いかも知れませんが、ご存知の方のレスをお待ちいたします。
Sekizuka
2009/02/21(土) 17:31:58
>昭和20年(1945)以前の本・文献・HPなりを
レスが付きませんね。
当然と言えば、当然という気もします。
植木関係の書籍の多くは、昭和40年代の緑化ブーム以降ですからねぇ。
それも「芽接ぎ(繁殖)」なんて言うマイナージャンルですし。
ウチの書籍でも、昭和20年以前の植木関係というと本当に、ごく僅かです。繁殖関係に触れたものは無かったですね。
そもそも植木の研究機関なんて、東京、埼玉、神奈川、千葉、京都、三重などぐらいしかないし(最近はもう少し増えたかな)。
後は東京農大ぐらいかなぁ。
玩橘
2009/02/21(土) 19:33:14
[[解決]]
Sekizuka様 レス有難う御座います。
当方も色々と思い付くままに検索したりしておりますが、見当たりません。ご指摘の様に、難しいのかも知れませんね。矢張り秘伝であったものが、本なりに記載される事は、戦後の園芸と食料増産以後の賜物かも知れませんね。
何時までも屍を晒して置くのも見苦しいので、解決とさせて頂きます。
皆さん 有難う御座いました。
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